第二回連携授業研究会 報告書

  
日 時:2008年9月20日(土)

    場 所:滋賀会館4階 文化実習教室

    出席者:10名

    事務局: 8名

        内容 09:30~ 開会 馬場センター長挨拶

            09:35~ 意見交流11:30~ 各団体の展開中事業の紹介

            12:00  閉会 

1.意見交流

    意見交流は約二時間半に渡り、各団体の近々の取組を紹介しながら意見の交換をした。
   主な話題は以下の6つ。
        ① びわ湖ホール
           ・12月に予定されている小学校との連携授業について
           ・プレ事業「子供のための管弦楽教室」の紹介

        ②琵琶湖博物館
           ・展開中の理系プログラムの紹介
           ・教諭と博物館の繋がりについて

        ③老上中学校
           ・夏休みに芸術家と美術部部員とが制作した平和モニュメントの紹介

        ④畑中学芸員
           ・夏の研修会の総括
           ・国際美術教育学会(Insea)出場報告

        ⑤生涯学習課
           ・学校支援課設立構想について

        ⑥支援センター
           ・連携授業の新プログラム紹介
           ・京都橘大と支援センターの連携授業計画について
           ・しが子供文化芸術祭開催告知
2.詳細
   意見交流の詳細まとめる。
    ① びわ湖ホール(中川大氏)
      最初に12月に予定されている小学校との連携授業の紹介があった。アウトリーチ活動は今までにも行って
     いたが、ホールに子供たちを受け入れての連携授業は初の試。
      びわ湖ホールの中川氏は「びわ湖ホールとしては、子供だからといって無料だからといって質は落とさない。
     子供には本物は分かる。大人とは違う。連携の時も公演の本番と同じような待遇で進めたいです」と館内
     のスタッフを総動員して対応に当たると意気込みを語った。この連携事業が今後はびわ湖ホールのアウトリ
     ーチ活動に並び立つ事業になればと結んだ。
      またびわ湖ホールのスペースの広さには支援センターの津屋氏から「展示する場所として素敵なことができ
     る。音楽と美術との融合した空間づくりができると思っています。子ども事業で横に繋がっていくムードであり
     がたいです」とコメントがあがった。
      最後にプレ事業である「子供のための管弦楽教室」の紹介があった。活動は二回の予定で、現在一回
     目が終了したとのこと。ホール側の予想以上にこの事業の評判はよく、二回目はもっと大きなことがやりたい
     とのこと。
      他にも県立図書館との連携の紹介があり、本の貸し出しだけでなく本を館内に展示する企画もあるとのこ
     と。ただ無償提供にも限界があるようで、来年度からは賃借になる話も持ち上がっているそうだ。

    ②琵琶湖博物館(布谷上席総括学芸員)
      「自然調査ゼミナール」というプログラムの紹介があった。県内の理科系クラブの合同合宿で三年間続いて
     いるおり、琵琶湖博物館を会場にいくつかの学校の生徒が集まってここ数年は5~60人の参加者で活動
     している。主にプランクトンや魚などに関する体験学習をして、夜は水槽の前で寝泊まりするそうだ。人数は
     少ないけれど、中学校の中でならやっていける手応えを感じているという。
      またこの事業が広がり始めたのは、博物館内の中学校教員が学校現場に戻ったときに紹介したことがきっ
     かけだったそうだ。「学校の子供たちの活動と博物館と教員の活動とが広がって、面白い事業だと思う」と語
     られた。
      また推進中の事業として「学校サテライト博物館事業」の紹介があった。10月下旬から二年間続ける計画
     で、学校の空き教室に展示を持って行って展示をすることが骨子。展示内容は昭和の初期から戦後の写真
     と現在の同じ場所の写真を比較するなどを企画中とのことで、家族三世代で集まってもらって、展示室内で
     語り合い、当時のことを教えてもらうなどができればと。過去に行った「学校サテライト博物館事業」では、出
     前授業には学芸員や学者が、実行部隊は琵琶湖博物館の「はしかけグループのびわたん」が出向いていた
     そうだ。学校の短い授業時間でやらなければいけないので、過去に行った手持ちのプログラムを活用しながら
     行った。そしてもっと深い事業にするために、事前授業を行ったり昼休みにワークショップを開いたりして、実際
     に博物館で行われることをやってみようと準備を進めているそうだ。出来るだけ多くの学校に参加して欲しい
     が、まずは博物館の方から出て行こうと各学校と相談中。一つのモデルケースになればと締めくくられた。

      この話題に対して中川氏から「ホールはロビーコンサートは行っているが、来られない方もいるから出前授業
     など参考にさせて頂いて、うちも力いれていかないと」と意見があがった。馬場センター長からも「お互いが持っ
     ているノウハウを教え合って、連携していくと負担が少ないかなと思います。今支援センターでは今度琵琶湖
     博物館と幼稚園と連携します。ファーブルに関連して、音楽などを小さい子供たちにしていきたいと。そういう
     形で、どういうかたちで連携できるか分からないけど、お互いにそれぞれ出し合っていけば、新しい連携が生ま
     れるかと思います」と語られた。

    ③ 老上中学校(伊庭靖二教諭)
      平和学習の一環として夏休み行われた、沖縄の彫刻家と中学校の美術部部員によるレリーフをブロンズ
     にする平和モニュメント制作の紹介があった。6日間行ったそうだ。10月2日に開かれる平和イベントに合わせ
     て、沖縄の彫刻家が子供たちと制作をしたいと提案したことから始まったそうだ。
      夏休み中ということもあり会場の確保や生徒たちの調整が難しかったが、「平和・人権・沖縄」というはっき
     りテーマがあったので良かったとのこと。初めはなぜこのような授業が行われているのか理解が追いついて
     いなかった生徒たちも、分からないからこそ分かろうと積極的に展示を見に行ったりと学習にがっていった
     ようだ。モニュメントは草津市の新しい文化施設の壁面に常設される予定だそうだ。

      このことに関連して大津高等学の岡村教諭に高校での活動について話が振られた。高校の美術研究会
     では研究部をつくり、校内にある小倉遊亀の作品を用いて授業を行うようになった。美術館への校外授業
     も取り入れるようになったと授業範囲を広げたそうだ。

    ④ 畑中学芸員
      夏の研修会の総括として来年の課題点があげられた。
        ・ 開催日程について
           学校の予定と上手くかみ合わなかったので来年は情報をもらって調整を。
        ・ 広報について
           一昨年から取り入れている10年研修の広報が、早い時期から関連冊子などに載ってしまうので当
          たり障りのない内容しか載せられず効果的な広報が出来なかった。
        ・参加者の質について
           開催側としては研修内容に興味や意欲のある参加者を前提としているが、今年度はそうではない
          参加者が見受けられ戸惑った。

       以上の点を上げながら研修会の内容を振り返り、美術に絞っていた研修会が今回宇宙と古代と「星」とい
      う接点で開催できたことは「自然科学系と美術館との可能性を広げ、美術、工芸系という限られた視点を
      抜け出すような内容の研修会だったと思います」と締めくくられた。

       また国際美術教育学会出場の報告では、世界大会で紹介した連携事業について「どのように展開した
      いいのか」などの質問があがったそうだ。

    ⑤生涯学習課(北島泰雄氏)
       「学校支援センター」立ち上げ構想について。これは学校を支援したい企業や博物館や美術館などと学
      校を繋げる事業で、この秋から始まる計画。また国の事業でも、学校を支援する仕組みづくりも始まってい
      る。滋賀県内の13市町で立ち上がるそうで、すでに始まっていることを県として支援していくそうだ。地域コ
      ーディネーターを配置し、地域の人が参加して貰い地域の力を学校に、地域の特色ある連携を進めていく
      ねらいがある。

       こうした政策に対して支援する側である博物館の視点から布谷氏が「学校の様子は知らないので、こう
      いうのはとてもありがたいです」と意見があり、支援を受ける側の老上中の伊庭教諭から「顔が見えるとい
      いですね。ものの前に人があって、直の話があって一気に見えることがあるので。主催がどなたになるのか
      はっきりしているといい。物とか日程はあとから揺すったら、結構上手くいくという不思議なものなので。それ
      でもなかなか進まないこともある。まずは窓口の人が、展開できそうなイメージを上手いこと行きそうな人を
      捕まえるのはとても大きいと思います。学校は前年度に考えるので、急に持ち込まれてもできないことはあ
      りますね。3月にはだいたい授業内にはまっていくので、来年のことを今ちょうどき決めていくので、そういう
      時期がいいかなと。そうすると次年スムーズに連携できます」と語った。

       こうした意見の交換の中で連携授業の中身の話になり、津屋氏から「メニューがたくさんあるのですが、
      質が見えない。素材の質、連携授業という言葉も乱雑に扱われているとので、ぜひ整理してほしいと思う。
      なぜかというと、現場の先生方の組織なので、質的なものを守るという形でもっと子どもの心に耳を傾ける、
      学習ということに視点をおいて、やる。一歩間違えると企業の宣伝に子供たちが使われるという危惧がある。
      企業も博物館に学びに行こうかというような、学びの意識が高まるような。単に情報がすごくあって、一緒く
      たになるようなことは勘弁してほしいです」とこれからの方向についての話があった。

    ⑥支援センター
       支援センターからはまず「新しく草木染め」の授業プログラムの紹介。これは琵琶湖博物館との連携で藍と
      カルカヤの二色染めでハンカチを染める過程を体験するというもの。第一回目は養護学校で行ったので、他
      の学校でも展開していきたいと抱負を語った。
       二つ目は京都橘大学と支援センターの連携で授業の計画で、橘大学の博物館授業の中で学芸員などの
      文化施設関係者や県民文化課などの文化行政の関係者を集めて講義と交流会を行おうという計画の紹介。
       三つ目は子供文化芸術祭の開催告知。創造館での開催予定で、びわ湖ホールの来年の事業のプレ的な
      事業の位置づけ。子供の作品の展示だけではなく、連携研究会のメンバーとなぜアートかという、文化施設
      がもつ本物の体験が教育にどれだけ必要なのかというところをテーマにしながら話をする場も設けたいと
      内容に触れた。

3.まとめ

   連携研究会も今回で二度目となり、流れもスムーズで終始和やかに進んだ。どの参加者も所属する団体の
  活動を大切にしながらも、もっと何か出来ることがあるのではないかと連携を模索している姿に研究会を開催する
  意味があるのだと思った。
   まとめの段で馬場センター長がおっしゃった「百聞は一見に如かず。それぞれが頑張って、確かめながら、どうぞ
  これからもよろしくお願いします」というお言葉に明日からの活動の力を頂いた気がした。